自然保護

はじめての海ごみ「原料化」

“拾うだけでは根本的な解決にならない”と感じた、五島の海のごみ問題。

少しきれいになっても、また潮の流れに乗ってすぐに新しいごみが流れ着きます。また、離島である五島列島は島内での適切なごみ処理がむずかしく、その輸送・処理で自治体には大きな負荷がかかるそうです。

そんななか、海洋プラスチックごみを原料にアップサイクルプロダクトを生み出すブランドbuøy(https://buoy.stores.jp/)さんと出会い、一緒にお取り組みさせていただくことになりました。私たちの拾う海ごみも洗浄・粉砕することで、価値のある原料=“ビンテージ原料”としてもう一度生まれ変わらせることができるのです。

この日は、はじめての原料化。工程は大きく分けて、仕分け・洗浄・裁断・色分け・粉砕の5工程です。

まず、拾った海ごみの中で粉砕できるものとできないものに分けます。

次に、粉砕するごみを高圧水洗浄でおおまかにきれいにします。

そして、大きな漁具などのごみを、20cm角ほどの大きさになるまでカットしていきます。
これが案外時間がかかる…

カットしたら、細かい汚れをもう一度落として、色分けして乾かします。

こまでくると、メンバー全員が、もう“ごみ”とは見ていませんでした。この色珍しいね、あの色もきれい!と、自然と“価値のあるもの”として見るようになっていました。

そして、いよいよ粉砕。

こうして、五島の海ごみは、“五島産のビンテージ原料”へと生まれ変わりました。

実際にやってみて、正直大変でした。思っていた何倍も、時間も手間もかかりました。それでも、とても清々しく、先が見えたような気持ちでした。これまで五島の海の美しさを邪魔する悪者にさえ見えていたプラスチックごみが、価値があり個性がある“きれい”なものに見えるようになったのです。

私たちが今回の体験を通して得た最も大きなものは、プラスチックとの向き合い方の変化だと思います。拾うことのできるごみの量は限られていますが、「プラスチック製品=安くて便利で使い捨て」という概念が覆ったことで、またこれを少しでも多くの人へ伝えていくことで、いま目の前のごみの量を減らすことよりももっと根本的な解決に近づけるように感じています。