温肌PERSON

model イシヅカ ユウさん

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イシヅカ ユウさん​

ファッションモデル。ファッションショー、スチール、ムービー等、さまざまな分野で個性的な顔立ちと身のこなしを武器に活躍中。最近では俳優としてテレビドラマや映画にも出演するなど、活躍の場を広げている。

今回は、一緒に農園を訪れた美容ライターの長田杏奈さんがインタビューしてくださいました。

ーイシヅカさんの考える”美しさ”とは?
いわゆる「モデル的な美しさ」はひとつじゃなくていいと考えています。例えば、年齢やホルモンバランスで肉のつき方が変わってきたなと感じても、ストイックなダイエットをする気にはなりません。いまの私には、自分の変化をモデルとしての表現に昇華する自信と余裕がある。容姿が変わったら、その変化を「美しさ」ととらえ直せばいい。最近はプラスサイズモデルも活躍していて、世の中の価値観も少しずつ変わってきているのかなと思います。多様な美しさ、違いや変化をポジティブにとらえる世の中であってほしいですね。

そもそも、生きとし生けるものは全て美しい。「美」は視点でありひとつの概念に過ぎません。何が美しくて何が美しくないと切り捨てたりジャッジせず、すべては美しいという眼差しで世界を見ていたいです。

「揺るぎない自分のスタイルを持っていたい」
モデルという職業は、「見た目」の仕事だと思われがちです。でも、私は「装い」や「美」について、「この形であるということ」に重きを置いていません。どんな造形かよりも、どう表現するか。自分の内側にあるものを、どう使うかの方が大切です。容器によって形を変えながら、本質は変わらない水のように。どんな服を着るかによって魂の形を変えながら、揺るぎない自分のスタイルを持っていたい。モデルや役者は、どうしようもなくその人でしかないからこそ、自分とは全くちがう容器に入り込めるんだと思います。容器に合わせて自分の本質まで変わってしまったら、きっとヘルシーでいられないと感じます。

「ファッションは一期一会の化学反応」
「この服をまとってどう表現しよう」というとき、これまでインプットしてきたたくさんの蓄積をどうぶつけるかを考えます。自分の身体とスタイル、そしてたくさんの作品や美に触れて自分なりに消化してきたものが、服と出会って化学反応を起こし、身体表現になる。例えば、大好きな映画や海洋生物……「この服はマレーネ・ディートリッヒだな」とか、「これはクラゲになって着てみよう」というように。今まで貯めてきたものが堆肥になり自分の中で混ざり合って、表現として花が咲くイメージです。私の中で、オンの時間はアウトプット、オフの時間はインプットというサイクルができていて、休みの日は60年代の『装苑』や古い映画、山口小夜子さんのCMアーカイブを見返したりして過ごします。

外見や服はあくまで手段であって、心や魂が楽しいことが終着点。やっていることは「見た目のこと」かもしれないけど、心のおもむくままに魂で遊んでいる感じです。会う人や行く場所のことを考えながら、自分なりのリスペクトを込めて服を選びメイクをする遊びは、毎日でも飽きません。

ー今日の服はどのようにして選びましたか?
「この服をまとってどう表現しよう」というとき、これまでインプットしてきたたくさんの蓄積をどうぶつけるかを考えます。自分の身体とスタイル、そしてたくさんの作品や美に触れて自分なりに消化してきたものが、服と出会って化学反応を起こし、身体表現になる。例えば、大好きな映画や海洋生物……「この服はマレーネ・ディートリッヒだな」とか、「これはクラゲになって着てみよう」というように。今まで貯めてきたものが堆肥になり自分の中で混ざり合って、表現として花が咲くイメージです。私の中で、オンの時間はアウトプット、オフの時間はインプットというサイクルができていて、休みの日は60年代の『装苑』や古い映画、山口小夜子さんのCMアーカイブを見返したりして過ごします。

外見や服はあくまで手段であって、心や魂が楽しいことが終着点。やっていることは「見た目のこと」かもしれないけど、心のおもむくままに魂で遊んでいる感じです。会う人や行く場所のことを考えながら、自分なりのリスペクトを込めて服を選びメイクをする遊びは、毎日でも飽きません。

―“着たくない”と思うことはありますか?
着たく無い服はないですね。気難しそうな服を着るのが楽しい。特にオリエンタルな服や和物は本粋で、「いくらでも着るぞ」とテンションが上がります。中学生のときにドラマ『大奥』で豪奢な着物に魅せられ、日本映画を観るうちに粋でかっこいい着こなしに憧れるようになりました。着物って、「『義経千本桜』を観るから桜柄にしよう」とか「『道成寺』に合わせて、鱗柄にしよう」とか、行き先に合わせて着物や帯、帯留めでオマージュを捧げる文化があるのも楽しいです。

―着物はお召しになりますか?
サイズは合わないけど親戚が持っているいろんな着物を譲り受けたり、ネットオークションでアンティークを落札したりして少しずつコレクションしています。直線断ちの布で構成された着物には、70年代のISSEY MIYAKEのようなアヴァンギャルドさがあります。一枚の布を着るという、着ることの原点に立ち返るような気持ちになれます。前後ろに着たり、ずらして着たり、中に洋服を着てみたり。常識にとらわれず、衣服の実験として着こなしています。もともと服作りに興味があったので、洋服もボタンを変えたり、切ったり破いたり結んだりして自分なりにアレンジを加えるのが好きです。

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長田 杏奈さん​

ライターとして、美容をメインにインタビューやフェムケアなどを執筆。また椿がきっかけで園芸にはまり、十数品種を栽培するほどの椿マニア。podcast「なんかなんかコスメ」を配信中。著書「美容は自尊心の筋トレ」など。