温肌TIPS

春の不調に「肝」の養生食を

東洋医学では、漢方や鍼灸に共通する概念として、体の機能を5つに分けた「五臓(ごぞう)」という考え方があります。その中でも「肝(かん)」は、肝臓だけではなく、血流、自律神経を加えた広い機能を網羅しています。

春は「肝」の季節と言われ、春に最も乱れるため、ケアをする必要があります。「肝」の乱れには、「酸味のあるもの」を摂るのがふさわしいとされています。

「肝」が不調になりがちな春の養生食として、梅干しをお食事に取り入れていただくのはいかがでしょうか?
梅干しをそのまま召し上がるのが苦手な場合、梅肉を細かく切ってお料理に活用すると、より摂りやすいです。炒め物やサラダなどのアレンジがおすすめ。
例えば、茄子と豚肉を炒めて、お醤油とお砂糖で味付けをし、梅干しを入れると、梅干し独特の強い酸味が気になりにくくなります。
また、大根を千切りにしたサラダに、ドレッシングの代わりとして細かく切った梅肉を入れて、お醤油、胡麻油、少しの塩を和えて、「肝」の養生となる酸味を摂ることができます。

また、「肝」の季節にとくに注意したいのが白砂糖の摂取。白砂糖は血糖値が変動しやすく、たくさん摂ると自律神経が乱れやすくなります。その結果、体が冷えやすくなるので、大量の白砂糖を摂ることは控えるようにしてくださいね。

甘いお菓子など、どうしても白砂糖を摂りたくなってしまうときには、「出汁(だし)」の効いたお料理がおすすめです。鰹節や昆布で取った出汁を使ったお料理をいただくと味覚が冴えわたって、白砂糖のたくさん入ったお菓子を自然と摂りたくなくなります。出汁の効いたお味噌汁など、穏やかなほのかな甘みを感じて、春の養生食と併せて体を冷やさないお食事を心掛けてみていただければと思います。

〈教えてくださった方〉​

奈部川 貴子先生​

美容アナリスト。顔ツボセルフケア研究家。美容ジャーナリストとしてスキンケア取材を通じて「肌が内臓の鏡である」ことに気付き、世界中にある顔の反射区・ツボ療法やフェイシャルリフレクソロジーを研究。鍼灸を学びながら独自のフェイスマップ®メソッドを確立。鍼灸師。​
著書 『美肌をつくる顔のツボ・反射区ケア 綿棒で1分押し!フェイスマッピング』​​(学研プラス)