連載
芽吹いたばかりの若葉を、
私たちは、摘みます。

生み出す責任があるから、伝えたい。

ON&DOのプロダクトの成分が、椿からできているという話を聞いて、実家の庭に生える立派な椿の木を思い出した。 まだ寒さが残る季節に花を咲かせ、時がくると美しいまま首から花ごとポトリ……と地面に落ちてゆく。幼少期のわたしは、地面に落ちた椿をかき集め、水風呂に浮かせて眺めていた。少しでもその美しさが続くことを願って、咲き続けることを願って。

花は視覚的な美しさだけでなく、さまざまな能力を持っている。 季節や環境、開花状況によって花の持つ成分が変化する。使う用途に合わせて、その花の能力を最大限に発揮するタイミングや手法がある。

半年ほど前にリリースした、わたしが手がけた花びら染めのテキスタイルブランド「mooneyo(もーねよ)」は、結婚式・イベントで使用された花や、花農家・花市場・花屋で規格外であることから処分される花を回収して、その花たちを使用して生地を染め、テキスタイルとして花を蘇らせるブランドだ。生地に花びら模様をプリントするために、mooneyoスタッフや地方の職人さんたちが、花びら染めの研究を重ね、一度ドライフラワーへと乾燥させて粉にして染めることで、発色が良くなることがわかった。

ON&DOは、長崎県・五島にヤブツバキの自社農園をつくり、化粧品をつくっている。今回の夏の肌のための化粧品、芽吹いたばかりの若葉たちを摘んで美容成分を引き出してつくったそうだ。

若葉を摘むことは悪なのか?捨てられていた部位だけを使うことが正義なのか?もともとは、廃棄される椿の葉を集めて利用していたけど、ブランドのスタンスについてあらためて問いかけ、“捨てられるから使う”のではなく、“命だからこそ捨てない努力をする”という考えにいたって、若葉を利用する方針になった。ブランドと椿と、丁寧にたくさん向き合ったからこそ生まれた、ブランドの力強さなんだと思う。

これらの制作過程やストーリー(制作背景)は、決してマーケティングのために語っているわけではない。ものが溢れるこの時代に、このプロダクトを生みだす意味をお客さまに知っていただきたい。ストーリーごと愛してほしい。
ストーリーとともに生きてほしいから、責任を持って届けたい。

サステナブルな生活が当たり前に求められる時代だけど、わたしは自分が地球に優しい素材を使っていたとしても、サステナブルという言葉を使うのは気が重い。なぜなら、一番のサステナブルは“何も生み出さないこと”だからだ。
D2C事業のトレンドもあり、洋服、化粧品、食品とブランドが増え続けている。

「ものが溢れ、持たなくてもしあわせにはなれるけど、それでもわたしはこれが欲しい。」

そんなふうに思ってもらえるブランドを創りたい。
あなたの人生に寄り添い、必要不可欠なものを創っていきたい。

後藤あゆみ​

bouquet TOKYO 代表|フラワーデザイナー・クリエイティブプロデューサー

1990年4月大分県別府市生まれ。京都の美大を卒業後、IT×クリエイティブ領域のスタートアップ企業に入社。24歳で独立した後、組織のブランディング / クリエイターの教育やプロデュース / 花の事業「綴」などを手掛ける。デザインプロジェクト「Design Scramble」は、代表的な活動のひとつ。おばあちゃんになるまでに美術館をつくるのが夢。​​

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夏の旬。若葉の特別な力を、夏の肌に。