連載
芽吹いたばかりの若葉を、
私たちは、摘みます。

瑞々しい気づきを与えてくれる新しい出会い

私は普段から、場所や人、出来事、風景など、気になったことはなんとなく頭のなかにストックしておくことにしている。

昨年とある仕事で海の色々な表情が撮れる場所を探していて、記憶の中からパッと引き出されたのが、五島列島だった。私には何の縁もない場所ではあったのだけれど、10年ほど前に知人が五島に移住して、彼のインスタグラムなどを通して見た島の様子がなんとなく頭の中にあったからだ。なんとなく、である。

五島列島は名前の通り、5つの島からなる場所で、私は福江島と中通島を2泊3日の日程で訪ねた。到着して、まず私の興味を引いたのは、島の特殊な地形だった。人が住む集落は海沿いに少ししかない平坦な土地を中心に点在しているのだけれど、内陸はほとんどが急な山で、道路を走っていると、左には海または崖、右を見れば山の中にいるのかと錯覚するくらい急な山肌、という不思議な景色がただひたすら広がっていた。こんな景色は初めて見た。

山の頂周辺だけを切り出して、海の上に浮かべたようなイメージというと想像しやすいだろうか。もちろん島の周囲には美しい海が広がっているのだけれど、それと同じくらい、内陸に広がる鬱蒼とした森の姿が印象に残ったのだった。

その森に自生しているのがON&DOの源ともいえる、ヤブツバキだという。まさか椿がこんな場所に自生しているとは、想像もできなかった。夏はジリジリと降り注ぐ太陽の光に照らされながらも力強く大地に根を張り水を求め、冬には崖や山肌を駆け上ってくる強い海風に吹かれながら、ピンクの可憐なお花を人知れず咲かせているのだろうか。……想像するだけで、なんだか、とてつもなく愛おしい。

当時の写真を見返していたら、道端で偶然撮影した椿の写真を発見。8月の初めだったので、実をつけている。

ON&DOのプロダクトを使いながら感じるのは、そんな厳しい環境で必死に生きる椿の生命力、そのものである。派手さはないけれど、じっくりと着実に。肌をふわりとやさしく包みながら、使い続けることでじんわりと、椿が五島で生き延びるために養ってきた生命力を自分に分け与えてくれるような感じがする。

ON&DOと出会って、去年の夏とはまた違った視点で五島の記憶を辿ることができた。新しいものとの出会いは、これまでとは違う気づきを与えてくれる。次に五島に足を運ぶときは、もう少し山の方に、目を向けてみよう。わたしたちに力を分け与えてくれている椿たちと、改めて出会うために。

市川 渚

ファッションデザインを学んだのち、海外ラグジュアリーブランドのPRなどを経て、2013年に独立。クリエイティブ・コンサルタントとして国内外の企業、ブランドのプロモーション企画/ディレクションに関わる。また自身でのクリエイティブ制作にも注力しており、フォトグラファー、動画クリエイター、コラムニスト、モデルとしての一面も併せ持つ。強い服と少し先の未来が垣間見えるデジタルプロダクトが好き。

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