連載
芽吹いたばかりの若葉を、
私たちは、摘みます。

Vol.1 芽吹いたばかりの若葉を、私たちは、摘みます。

2021年3月14日、今年はじめて開いた、ちいさな若葉を見つけました。​

触れると水分が染み出してくるのではないかと不安になるくらい薄くて、やわらかくて、みずみずしい。

常緑樹である椿があたらしい葉をつけるのは、1年に一度。
最後の花が落ち始めたころ、椿は枝の先からあたらしい枝をぐんぐん伸ばし、その先に細長い葉の蕾をにょきっと上向きにつけてスタンバイするのです。
まるで、空の様子を伺って、開くタイミングを見計らっているみたいに。

4月から5月にかけて一気にその葉が開き、1枚1枚がみるみるうちに大きくなって、鮮やかな黄緑色の若々しい葉になります。花の次は、葉の出番。夏を迎えるころには、ピンと胸をはったぴかぴかの若葉たちが、枝の最先端で全面に日光を浴びるわけです。

そんな期待の新星「若葉」を、私たちは、摘みます。

摘んで、美容成分を引き出して、夏の肌のための化粧品をつくります。

これまで、たくさんの大人葉(芽が出てから2~3年の葉)からさまざまな美容成分をつくってきました。もともとは、大人葉が剪定の際、大量に廃棄されていたことがきっかけです。枝も実も同様に、捨てるしかなかった部位を活用して化粧品を開発してきました。無駄にせず、すべてを活かすことが、椿のためにも、肌のためにも、五島列島のためにもなる。私たちは、そうお伝えしてきました。

でも、改めて考えました。

それなら、若葉を摘むことは、悪なのか。
捨てられていた部位だけを使うことが、正義なのか。

これまでの原料開発は間違ってはいなかったけれど、私たち自身、もっと大切なことを見失いかけていたのかもしれません。

“捨てられるから使う”のではなく、“命だからこそ捨てない努力をする”。

私たちはもっと椿の命と向き合い、誰がどんな想いを込めて、椿がどんな工程を経て化粧品になるのか、ひとつひとつ確認し、きちんとそれを伝える責任があるのではないか。
だって「捨てられた部位を使いました」では、本当に大切な想いがどこにあるのか、見失ってしまうから。

芽吹いたばかりの若葉を、私たちは、摘みます。

その背景にあるひとつひとつのストーリーを、ぜひ、知っていただけないでしょうか。

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